レッドブルは2010年シーズン、2人のドライバーを平等に扱いながらドライバーズ、コンストラクターズ両選手権を制覇したが、これはレッドブル以外のチームにはできないことだった。
こう語るのは、2011年からのF1参戦を目指していたエプシロン・エウスカディのチーム代表ホアン・ビラデルプラット。どちらか一方のドライバーを優先させるという戦略は、非難の対象になることもあったが、レッドブルが2010年シーズンを圧倒したことで、ドライバーを平等に扱うという方針の正当性を、レッドブルが声高に訴えるとする意見が多い。
「彼らはフェアに、真っ向勝負することを決断したが、うまくやることができた」とビラデルプラットは『El Pais(エル・パイス)』紙へ書いた。
F1で3度チャンピオンになっているニキ・ラウダは、ドライバーズ選手権を確実に獲得するため、チーム戦略を使うようレッドブルに求めていた。しかし、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)がタイトルを獲得すると、オリンピックのような姿勢で結果を残したとして称賛。次のようなコメントを残していた。
「このチームが最も正しい方法を使い、最終的に勝利したことは驚くべきことだ」
「F1の歴史60年の中でも、類を見ないことだと私は思う」
レッドブルがこういった姿勢を貫けた理由としてビラデルプラットは、レッドブル・レーシングがエナジードリンクメーカーであるレッドブルにとって非常に大きな宣伝媒体になっていることを指摘する。実際、レッドブルのクルマには、レッドブル以外のスポンサーロゴは少ない。
「彼らは、チームのオーナー(ディートリッヒ・マテシッツ)が、別のやり方で(チーム戦略を使って)勝つよりも、負けることを選ぶと発言したことで、ああいった戦い方をすることができた」
「ほかのチームでは、あんなことは不可能だ。スポンサーとの契約によって、義務が生じてくるからね」
選手権で上位にいたマーク・ウェバー(レッドブル)を優先させず、結局はベッテルによる逆転タイトル獲得を達成したレッドブル。しかし、レッドブルの育成プログラム出身であるベッテルが選手権上位にいた場合、レッドブルはベッテルを優遇していただろうという意見は多い。