レッドブル、フェルナンド・アロンソに翼を授ける?

2010年11月09日(火)
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F1のチャンピオン争いは最終戦アブダビGPまでもつれ込んだが、レッドブルがどのような戦術で戦うのか注目が集まっている。

現在、数字上ではフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、マーク・ウェバー(レッドブル)、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)、ルイス・ハミルトン(マクラーレン)にチャンピオンの可能性がある。

しかし、ハミルトンはランキング首位のアロンソから24ポイント差になっており、レース優勝で獲得できるポイント数が25であることを考えると、ハミルトンはチャンピオン争いから事実上、脱落したと言える。

もし、レッドブルがアブダビGPでウェバーのチャンピオン獲得を優先させず、ウェバーとベッテルを自由に戦わせた場合、アロンソがチャンピオンになる可能性が高い。

そのため、『Der Spiegel(デア・シュピーゲル)』紙がレッドブルの有名なキャッチコピーを皮肉り、「レッドブル、アロンソに翼を授ける」と書くなど、ウェバーを優先させるべきだと伝えるメディアが多い。

だが、レッドブルのチームオーナーであるディートリッヒ・マテシッツが『Salzburger Nachrichten(ザルツブルガー・ナッハリヒテン)』へ「きちんとした条件下での2位は、1位よりも価値が高いことは多い」と語っていることもあり、レッドブルがアブダビGPでも2人のドライバーを自由に戦わせる可能性は高いと思われる。

しかし、ブラジルの『Globo(グローボ)』が伝えるように、ベッテルがトップを走行していても、レッドブルが「マークの方が君より速い」とベッテルへ無線で伝える可能性は否定できない。

ドイツGPの際には、これを同じような無線を受けたフェリペ・マッサ(フェラーリ)がチームメートのフェルナンド・アロンソへ優勝を譲った。レース後、これがF1で禁止されているチームオーダーだと判断され、フェラーリには罰金が科されたが、ポイントははく奪されなかった。ウェバーをチャンピオンにするため、レッドブルも罰金覚悟で同じことをする可能性がある。

「僕は常に、2人のドライバーへ平等にチャンスを与え、コース上で戦わせるという姿勢に賛成してきた。でも、逆の状況になった場合でも彼らが同じことをしたのか疑ってしまうよね」とルーベンス・バリチェロは語る。

バリチェロがこう語るように、選手権で上位にいるのがベッテルだった場合、間違いなくウェバーがベッテルのサポート役になっていたはずだとする意見は多い。

元F1チャンピオンであるニキ・ラウダは、レッドブルが全面的にウェバーをサポートするべきだとして、「セバスチャンはチームの一員だ。彼のすることは、ウェバーの助けにならなければならない。最終ラップに限ったことではなくね」と語っている。

これに対してはウェバーも、『Bild(ビルト)』紙で次のように述べた。

「確かにそうだね。そうでないと、フェルナンドを優先させたフェラーリのチームオーダーが大きな成果を生むことになる」

そのため、レッドブルがチーム戦略としてウェバーを先行させる可能性も指摘されており、『Autosprint(オートスプリント)』には、次のようなレッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーのコメントが掲載されている。

「われわれは今年すでに、フェルナンドへあまりにも多くのプレゼントを与えてきた」

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