元F1ドライバーの片山右京氏が、日本GPで大活躍を見せた小林可夢偉(ザウバー)の走りを高く評価し、未来へつながるものだったと語った。
日本GPで可夢偉は、コース上でほかのクルマを抜く「オーバーテイク」を連発。ほかのドライバーがほとんどオーバーテイクをしない中、可夢偉のみがオーバーテイクを繰り返したこともあり、可夢偉の走りには世界中から称賛が集まっている。
そんな可夢偉について片山氏は、「ファンから愛され、チームから愛される彼は、世界に通用する日本人F1ドライバーに成長してくれた」と『中日スポーツ』のコラムで書き、こう続けた。
「そして、10月10日(日本GP決勝)に可夢偉が世界に与えたインパクトは、これまでの日本人ドライバーやF1にかかわってきた大勢の日本人の歴史だと思うと、僕の胸にも熱いものが込み上げてきてしまった」
さらに片山氏は、日本人ドライバーが活躍することの重要性を、次のように説明する。
「日の丸を背負ったドライバーが活躍する時、また新しい夢が始まる。子どもたちはあこがれを感じ、下位カテゴリーで頑張っている若者たちには勇気が生まれる」
可夢偉は以前から、日本の将来を支える子どもたちに夢を与えるため、自分がF1でがんばらなければならないと言い続けてきた。片山氏は、可夢偉が日本GPで見せた走りが、子どもたちに影響を与えたはずだと語る。
「可夢偉の鮮烈なパッシングシーンは、現地やTVで観戦した子どもたちの記憶にしっかりと刻まれたことだろう。そして、そこからまた新たな歴史が始まるにちがいない。いよいよ日本のF1も本物の歴史や伝統になろうとしている」
最後に片山氏は、日本GP開幕の直前に亡くなったモータースポーツジャーナリスト、西山平夫氏へ語りかけるような一文でコラムを締めくくっている。
「西山さん。やっと、僕らの夢が動きだそうとしているよ」