中国GPでの優勝によってドライバーズ選手権トップに浮上したジェンソン・バトン(マクラーレン)は、マクラーレンに移籍してからの数戦で、F1では性急な判断を下せないことを証明したと語っている。
現ワールドチャンピオンであるバトンはマクラーレンに移籍したものの、マクラーレンの秘蔵っ子として育てられてきたルイス・ハミルトンに対抗できないというのが大方の見方だった。
しかし、第4戦中国GPが終わった段階で、バトンはハミルトンに予選で3回勝ち、ハミルトンがまだ今季は優勝できていない一方で、バトンはすでに2勝を記録している。
『Guardian(ガーディアン)』紙が掲載したコメントの中でバトンは、開幕前の予想に傷ついていたことを示唆した。
「落ち着いて見守って、楽しんでみる必要があるときもあるんだよ。大声でいろんなことをわめくんじゃなくてね。あれ(予想されていたこと)が今後、現実のものになるかもしれないけど、誰にも分からない。僕にも分からないことだよ」
「でも、現状には満足している」とバトンはコメント。
しかしハミルトンは、すぐに自分の流れになると語っている。最近のハミルトンの走りを、キャリア最高のものだったと称賛する関係者もいた。
「最高なレースを走れたと思うよ。でも、彼(バトン)は正しい判断を下して、楽なルートを選択した。僕が選んだのは厳しいルートだったけど、いい結果を残せた。すぐにぼくも楽なルートを選べることを願っているよ」とハミルトンは話している。
さらにハミルトンは、バトンがこれまで好調なことには驚いていないと語った。
「彼がチームに加わるときには、いろいろなことが言われていた。僕が有利だったらしいけど…僕も、彼のことがとてもうれしいよ。彼の方が良い仕事をしていた。流れが変われば、きっとそうなるけど、そうすれば僕も同じことができる」とハミルトン。
フェラーリでは、フェルナンド・アロンソとフェリペ・マッサの間に亀裂の兆候が見えてきたが、マクラーレンで同じようなことが起こることはないとハミルトンは語る。
「僕たちにそんなことが起きるとは思わない。僕とジェンソンにとって良かったのは、もちろんお互いに勝とうとはしているんだけど、ジェンソンはとてもスマートで、攻撃的すぎるようなところはないことなんだよ。僕もそんなことはしないしね」
その一方でバトンは『Daily Express(デイリー・エクスプレス)』の記事で、かたくなに勝利を目指すハミルトンのドライビングスタイルを「ピットブル(闘犬として育てられることも多い犬種)のようだ」と語り、「あんなチームメートを持つのは」好きだと加えていた。