F1のエンジンメーカーは、2013年に根本的に新しいエンジン規定を導入するという統括団体FIA(国際自動車連盟)の計画に、一丸となって反対している。
以前は、より“エコ”なイメージを打ち出すために1.6リッター4気筒のエンジンを使用する計画を、チームの大半が支持しているとされていた。
しかし、フェラーリ、メルセデス、ルノー、コスワースといったエンジンメーカーは今では、ジャン・トッド(FIA会長)の計画は開発に1億ユーロ(約114億円)かかるという結論にいたり、既存のV8エンジンで新しいマシンを作り上げるよう働きかけている。
コスワースは2,000万ユーロ(約22億8,000万円)で4気筒エンジンを開発できると指摘したようだが、それでも小規模チームにとっては予算を超える金額だ。
そのため、エンジンメーカーは2015年まで新エンジン規定の計画を延期するよう求めていると、ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』は報じている。
FIAの望むところは現在のエンジンでの燃費制限やKERS(運動エネルギー回生システム)の開発促進にあるとメーカー側は信じている。
メーカー側は、シンガポールGP後に会合を持ち、2012年以降もV8エンジンを維持する動きを進めていくことで合意した。
F1関係者の中には、現在よりも小さなエンジンが作り出すサウンドは迫力がなくなると懸念しているものの、トッドは新しいF1ルールが予定通り導入されると断固主張しているようだ。
新規定エンジンがF1以外でも使われる可能性も含め、FIAの新規定に満足しているメーカーがある。ポルシェだ。
ポルシェの研究開発責任者のヴォルフガング・デュルハイマーは、ポルシェのF1への興味について、複数のカテゴリーでエンジンの基本的な規定を部分を統一する “ワールドエンジン”構想に基づくものだと語っている。
「もちろん、ルールは正しくあるべきだ」ともデュルハイマーは加えている。