チーム首脳とドライバー:
ジョン・ブース(ヴァージン)、ロス・ブラウン(メルセデスGP)、マイク・ガスコイン(ロータス)、ティモ・グロック(ヴァージン)、ニコ・ロズベルグ(メルセデス)ヤルノ・トゥルーリ(ロータス)
記者会見:
Q: ジョン、今シーズンここまでを振り返って、どのような心境ですか?
ジョン・ブース(以下、ブース):そうだね、以前、同じ質問を受けたけど、答えもほぼ同じかな。前半は目を覆う惨状(さんじょう)だったが、モナコGP以降は順調に上向いている。
Q: 来年についてはいかがですか? チームには大量の資金投下が必要とも叫ばれていますが。
ブース:われわれは予算を3から5年のスパンで計画している。ここまでその計画に一切、変更はない。
Q: では財政計画は健全という事ですか?
ブース:その通り。
Q: 他に付け加える点は?
ブース:ないね。
Q: 新チームの内ふたつは、それぞれ新しい供給先のトランスミッション(変速機)を選んでいます。あなたのチームは? トランスミッションに問題が出た事は? 変更の予定はありますか?
ブース:シーズン序盤に問題が出た事はある。われわれの物は新チームの中でも特殊なんだ。内部機構の製造を外部に委託しているとは言え、われわれのギアボックスは、ほぼ内製なんだよ。従って、当チームの状況は他と少し異なっている。今年行った開発には非常に満足だ。来年のギアボックスは、さらに信頼性が増しているようだ。だから、今のままでハッピーだよ。
Q: つまり、他チームのケースはあなたのところに当てはまらない訳ですか?
ブース:そうだ。
Q: ティモ、今年は怪我からのカムバックで明けましたが、ここまでをどう総括しますか?
ティモ・グロック(以下、グロック):ジョン(ブース)が言ったように、シーズン幕開けはとても苦しかった。前半は非常に大変だったよ。僕について言えば、イギリスGP以降、マシン開発はレース毎に、すごくうまく行ったよ。いろいろ学んだし、チーム自体も順調に、正しい方向に進んでいる。互いに成長し合っているね。僕サイドで言えば、毎週末ベストを尽している。ロータスを予選で負かした事もあったし、シンガポールや韓国ではウェットのコンディションで良いタイムも計測している。その反面、ツキが無いレースもあったね。12位や13位といったせっかくの結果を、取りこぼしたりした。でも、それもモータースポーツさ。僕らは失敗から学んで、将来に生かさなければならない。
Q: 何が必要だと思いますか? 来年はロータスとバトルできそうですか?
グロック: それを言うのは、まだ早いな。誰もが開発に必死だからね。今のところは分からないよ。まあ、その内ね。僕らに必要なのは改善だ。失敗を勉強材料として、懸命な開発を心がけるしかない。
Q: 来季には大いに期待ですか?
グロック:そうだね。
Q: 来年は間違いなくチームにとどまりますか?
グロック:今のところ、その予定だ。イエスだよ。
Q: ロス、マシンは開発を中止してから調子を上げているようですね。決してバカにして言っているのではありませんよ。あなたの口からご説明いただけますか?
ロス・ブラウン(以下、ブラウン):ご親切にどうも、ボブ(コンスタンデュロス:記者会見司会者)。ただ単にこれまでの事が実を結んだんじゃないかな。テストも無しに新しい物をあれやこれやと投入すると、金曜日と土曜日のプラクティスは大変な事になる。今シーズン、新しい物をたくさん入れて、しかもそれがまともに働かず、調子を下げた事があった。そういった開発状況を立て直しただけさ。われわれは、新パーツからベストのところを引き出せていない。その点は反省材料だね。将来の糧とするよ。新しいパッケージを実戦で試す前に、キチンとした準備段階を経た上でサーキットにやってこよう。今年はあらゆるチームが同じ目にあっているんだ。何せテストをしていないものでね。二歩進んで一歩下がる、みたいな。テストをしていた頃を思い返してみよう。われわれはサーキットで何日もテスト走行しながら新パーツを精査するが、それでも期待した成果を得られない事がある。まあ納得せざるを得ないところだね。とは言え、その点から学ぶ事も多いよ。
Q: シーズン大詰めに来てトップ勢に多くのチームがひしめいています。FIA(国際自動車連盟:F1統括団体)の視点から見ると、これは、技術的に完ぺきではないですか?
ブラウン:先ほど申し上げた事から、今季は素晴らしいものになっているね。以前と違って、チームはテスト開発をやりたい放題という訳にいかない。おまけに給油が無くなって、戦い方は変わってきたんだ。今年はタイヤも大きく変化したね。従って、今季は素晴らしいものになったと思う。こうしてせっかく物事が安定したのに、レースを面白くするため、来年に向けて新しいリアウィングを導入する選択肢をキープしておこうといった動きが出やしないかと心配だよ。F1は今、とても良い状態だ。最高のレースを展開している。全体的に、ショーとしてすごく面白い。確かに改善点を探るのは必要だが、F1は悪いソフトではないよ。
Q: ニコ、今後ふたつのサーキットで、あなたのマシンパフォーマンスについてどう感じていますか? ロスが言うように、クルマはどんどん良くなっていますか?
ニコ・ロズベルグ(以下、ロズベルグ):韓国GPは確かにいいチャンスだった。その前の数戦に比べて若干、タイムが上がったしね。しかし、今後僕らが前進するかどうかは、言うのが躊躇(ためら)われるね。僕らは、現在の順位を守りたい。しかし、今週末は少し難しそうだよ。でも明日(土曜日)は雨のようだし、仮に降ったら、僕らのチャンスは広がると思う。実際のところ、もし明日雨が降ればグリッドを上げるチャンスだよ。
Q: タイトル争いで少しでもジョーカー的な存在になれそうですか? 誰の邪魔もしたくないとは言え、何らかの形で上位に食い込んだ場合、そうした状況をうまく利用できないものでしょうか?
ロズベルグ:もちろん、(タイトルを争う)彼らは注意を要する状況にある。それが当たり前だよ。利用しない手はない。チャンピオン争いに割って入れるなら、願ったり叶ったりだね。それだけ僕は上位にいる訳だから。でも、それは簡単な事じゃないな。
Q: 韓国GPであなたのマシンは直線で速いところを見せつけました。ここ(インテルラゴス)と、とりわけ次のアブダビの直線はあなたを後押ししてくれるでしょうか?
ロズベルグ:そうだな、韓国ではFダクトが非常に有効だった。あれはマシンのパフォーマンスを正しい方向に導いた、良い武器のひとつだ。今後2戦でも役に立ってくれるだろう。しかしそれでも、さらに大幅な進歩を遂げるかどうかは分からないな。
Q: マイク、チームは来季、ルノー製エンジンとトランスミッションを使用する契約を締結したばかりです。あなたにとってその重要性は?
マイク・ガスコイン(以下、ガスコイン):われわれはルノー・エンジンとレッドブル・テクノロジーのトランスミッションを使用する事になった。チームにとって大きな一歩前進だね。最近われわれはさまざまな発表を行っている。自社風洞施設やファクトリーの開発とかね。それはすべて、チームの明るい未来のためさ。何にしてもF1初年度は難しいものだよ。シーズンの流れには満足している。今のところ新規チームの中でトップだし、そのポジションは守りたい。チームを立ち上げて来年に向け成長するのが、常に今年の課題だった。新たなパートナーを得て、チームも拡大しているから、未来は明るいと言っていいね。
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