日本GPで次々に前を走るクルマを抜き、世界中のモータースポーツファンを興奮させた小林可夢偉(ザウバー)。ロバート・クビサ(ルノー)も可夢偉のレースを楽しんでいたようだ。
予選をミスをしてしまい、14番手から日本GPをスタートした可夢偉だが、コース上で前のクルマを抜く「オーバーテイク」を連発。最終的には7位でレースを終える活躍を見せた。
日本GPにザウバーのチーム代表ペーター・ザウバーの姿はなかったが、チームCEOのモニシャ・カルテンボーンは「彼のオーバーテイクは、見ごたえ満点でした」とコメントしている。
レース中には、エイドリアン・スーティル(フォース・インディア)、ハイメ・アルグエルスアリ(トロ・ロッソ)、ルーベンス・バリチェロ(ウィリアムズ)、そしてチームメートのニック・ハイドフェルドをオーバーテイクしていた可夢偉。だが、ハイドフェルドは無理に可夢偉をおさえないようにしていたようだ。
「チームから、彼を邪魔しないように言われた」とハイドフェルドは『Blick(ブリック)』へ語った。
『Blick(ブリック)』紙のF1記者ロジャー・ブノワは、日本GPで何度オーバーテイクを試みたか可夢偉に質問している。
「覚えてないですよ。スタートで、僕の周りでクラッシュがたくさん起きていたのは分かりました。その後、僕も何度かライバルと接触していました」
「僕のクルマもかなり壊れていましたよ!」と可夢偉は答えた。
クルマへのダメージについては、ザウバーのチームマネジャー、ベアト・ツェンダーが次のように語っている。
「ディフレクター(整流版)がいくつか外れていて、サイドポッドには大きな穴があった。フロントウイングにも、外れているパーツがあった」
だが、可夢偉の走りに興奮したのはファンやザウバー関係者だけではなかった。レースが開始してすぐ、ホイールが脱落したためにリタイアしたロバート・クビサ(ルノー)が、次のように語っている。
「あのクルマで可夢偉がやったことは、素晴らしいね。僕はテレビでレースを見ることになったんだけど、彼が僕の1日を救ってくれた」