F1の統括団体FIA(国際自動車連盟)ジャン・トッドの会長は、F1をより「透明化」させるべくチームオーダーの禁止を見直す事を示唆した。
2000年代にフェラーリを率いて大成功を収めたトッドの発言だけに、同チームのプレッシャーやレース哲学に屈したのではという見方もあるが、本人はこれを否定している。
イタリア・マラネロに本拠を置くフェラーリは、先のドイツGPで所属するフェリペ・マッサとフェルナンド・アロンソの順位を意図的に入れ替えたとしてペナルティーを受けた。しかし、その後の世界モータースポーツ評議会では追加制裁を免れ、物議を醸している。
そればかりか、2002年オーストリアGPでトッド監督(当時)の指示によりルーベンス・バリチェロ(現ウィリアムズ)がミハエル・シューマッハ(現メルセデス・ベンツ)をわざと抜かせた問題に端を発して施行したチームオーダー禁止令を、見直す事になったのだ。
このほど南米アルゼンチンを訪れたトッドは、次のように『Clarin(クラリン)』紙に話す。
「私はチームオーダーに賛成でも反対でもない。すべては状況次第だ。何せモータースポーツが始まって以来、付き物の話だからね。ドイツでアロンソとマッサの一件が起きると、またぞろ、この問題は首をもたげたが、しかるべき委員会にルールをはっきりさせるよう申し送りをしてある。もっとも健全で透明性の高い方策を探し出せとね」
チームオーダーに対して方向転換を行ったとも受け取られかねないFIAの姿勢について、トッドは、FIA会長の要職に就いた自身とフェラーリの関連性を否定する。
このような批判について問われたトッドは、こう応じた。
「愚か者の言い草だね。プジョー(WRC/世界ラリー選手権)時代にも同じ事を言われたが、今度はフェラーリだ。FIA会長として私は、第三者の利益に左右される事なく、連盟のために全力を尽くしている」