今年、インディカー・シリーズに挑戦した佐藤琢磨が、先日報道陣からの質問に答えた。来年も100%インディカーで走ると明言、さらに来年は表彰台にあがりトップ争いがしたいと語る。今年2月にインディカー参戦を発表した琢磨の夢は、インディカーで優勝すること、一番になること。それを実現できるのか、来年が勝負の年になる。
Q:2010年を振り返ってください。
佐藤琢磨(以下、琢磨):2010年は本当に新天地で、もう挑戦の連続で確かに最終リザルトとして、満足の残る結果というのは残りませんでしたが、一つひとつのプロセスというのは、僕にとってすごくポジティブにとらえていて、とにかく来年につなげるために、自分の中でたくさんのことを吸収して、これまでとまったく違うシリーズで本当にそういう意味では、次につなげるすごくいいシーズンだったかなと思っています。
Q:目標としていたことはいろいろあると思います。だいたいどれくらいまで達成しましたか。
琢磨:最終結果という意味では、まったく目標は達成できていません。自分自身も、ものすごくフラストレーションを感じた1年でしたが、ただその中でもトップグループで走れたというのが、ひとつ力強く感じたというか、手応えをつかんだ部分もあります。オーバルは、まったく未知の世界だったのですけれども、オーバルでも勝負できるっていうところも自分の実感の中であるので、来年はそれをきちっと結果につなげていける、つなげていきたいと思います。
Q:ヨーロッパからアメリカに移って、大きく変わったことは何でしょうか。
琢磨:全然違うシリーズでした。ある意味ではこれまでの経験を生かせるのですが、そんなに簡単に右から左にいってポンと乗って成功するっていう生やさしいシリーズではないっていうのを身をもって体験したし、実感したし、逆にものすごく挑戦のしがいがあるので、すごく厳しいタフはシリーズでした。ロードコース、スプリント、オーバルというすごくバラエティーに富んだ環境の中で走ります。特にコース上での追い抜きも多くて、僕自身はすごく楽しかったです。
Q:その中で何が違うのか、具体的に教えてください。
琢磨:もちろん、クルマの特性が違うっていうのはありますけれども、走らせる環境も違います。オーバル、ロードコース、スプリントも、F1ではかなりバンピーだって言われるコースだったとしてもアメリカの中ではそんなにスムーズなコースはないっていう、走らせる環境はとにかく違います。ピットも、その素早い作業を終えるっていうのはF1と変わりませんが、ピットレーンの中もレースなんですよ。コーションの場合、一気に27台くらいが(ピットに)入ってきます。ピットボックは1台につき1つあるので、そこで0.1秒遅かったことが、致命的になるというか、本当に2、3台抜かれてしまいます。そういう意味でも、今までと違うアプローチが必要だと思います。(F1と異なる)リストを挙げるときりがないと思います。
コース上で接近戦が多いというのは、非常に良かったですね。スペック・シリーズという特性を生かして、各チームとの差が小さいので、ある意味どんなチームでもトップにいけるチャンスがあるということです。実際コース上での追い抜きがこんなにあるとは思わなかったし、レーシングドライバーとしてはコクピットからのシーンでは非常にエキサイティングでしたね。
Q:新しいチームKVレーシングで戦って、1年間チームの雰囲気はどうでしたか。
琢磨:最初のインディカー・シーズンとしては、チームも僕もいろいろかってが違うということだったり、リザルトとして歯車が噛み合わなかった部分もありましたが、1年間を通して、チームは常に僕をバックアップしてくれました。ジミー・バッサーの人柄、経験から、すごく団結力のあるチームだと思います。一つひとつ良くしていかなければいけない部分がたくさんあるのですが、その部分がクリアになっただけでもものすごく収穫の多い1年だったと思います。僕自身もね、ロータスブランドが復活する一員になれたことを、すごく誇りに思います。
Q:印象に残った出来事を3つ教えてください。
琢磨:とにかく、レースシートに戻れたことは自分の中では、大きなターニングポイントだったということは間違いありません。
もうひとつは、ロードコース、オーバル、両方ともレース中にトップ3を走れたことです。たとえば、コースコーションとピットのタイミングによって前に出られた訳ではありません。勝負をしつつ、前に上がれたことは、これは自分の中ではすごく大きな自信にもつながったし、手応えをつかめました。また、来年に続くポテンシャルっていう意味では大きかったですね。
3つ目は、こんなにうまくいかないものかなっていうくらい、一つひとつのトラブルには確実な理由があるのですけれども、こんなにたくさんのことを1年で経験しなきゃいけないのかと思いました。あるいは、経験できて良かったのか、それは来年答えがでると思います。
Q:来年は、インディカーに乗るということは決まっていますか。
琢磨:100%来年は、インディカーで走ります。
Q:チームは決まっていますか。
琢磨:チームについては、まだ発表段階ではありません。もちろん、KVレーシングと非常に近いポジションにいますから、基本的には継続でいく意志はすごく強いです。準備は進んでいますが、自分のインディカーに来た意味を深く考えると、とにかく来年以降につながる、やっぱりトップを走りたいし、そのために準備を整えているので、契約が締結した暁(あかつき)にはみなさんにしっかりお知らせするつもりです。
Q:今年は、シーズンぎりぎりの発表でしたが。
琢磨:そうですね、あそこまで(2月中旬まで)ぎりぎりになることはありません。基本的には、年内にやっぱり決めないといけません。1月からはいろんな準備が始まってしまいますし、2月からはテストもあります。しっかりと走らなければいけません。そのための準備として、年内にいい形で話し合いを続けたいです。
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