レッドブルは、圧縮ガスによってライドハイトを調節しているのではないかとセパンのパドックでうわさされている。
レッドブルは予選時に低いライドハイトで走っていながら、大量の燃料を搭載するレース序盤でもクルマの底を路面に当てていないため、マクラーレンやメルセデスGPの関係者は、ライドハイト調整システムの存在を疑っていると認めていた。
「私の認識では、実際にどの部分に書かれていたか思い出せないが、予選と決勝の間にいかなるサスペンション変更も行うことは許されていない」メルセデスGPのチーム代表ロス・ブラウンはこう語っていた。
しかし、レッドブルはルールに違反するのではなく、ルールを賢く解釈したとみられている。
テクニカル・レギュレーションでは、サスペンション・システムに影響を与える「いかなる動力装置」も禁止されており、「クルマが動いている間」に調整することを禁じるレギュレーションもある。
しかし、スポーティング・レギュレーションで規定されており、予選から決勝までの間のセッティング変更を禁止するパルクフェルメ・ルールでは、予選と決勝の間に「圧縮ガス」をクルマから「排出させたり、加えたり」することを認めている。
また、パルクフェルメ・ルール適用中に「サスペンションのセットアップに変更」を加えない限り、ドライバーがペナルティーを受けてピットレーンスタートになることもない。
そのため、レッドブルはクルマに搭載したシステムから圧縮ガスを抜き、レースに向けてライドハイトを上げているのではないかとうわさされているのだ。
統括団体FIA(国際自動車連盟)は、正式な抗議が行われない限りこの問題に介入しないとしているが、フェラーリなどのトップチームが、すでに書面でこのシステムに対する抗議を行う準備を整えたと『AS』紙は報じている。
「他のチームが何をやっているのかは分からない」
「だからこそ、状況の明確化を(FIAに)求めたのだよ」ブラウンは『Turun Sanomat(トゥルン・サノマット)』紙へこう加えている。
マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュはオーストラリアで、マクラーレンもライドハイトを調整するシステムに取り組んでおり、中国GPに投入できる可能性もあると語っていた。
しかしマクラーレンのマネジングディレクターであるジョナサン・ニールは、マレーシアで次のように話している。
「ライドハイト・コントロールだけにとらわれているわけではない。われわれは多くのことの評価を続けているが、これはその1つに過ぎない」
「レッドブルが特に速いことについて、何か決定的なものがあるとは思わない。いろいろあるものの1つだが、今の時点で大注目しているものではない」