事故でF1への道を絶たれたドライバー、母国でチャンピオンに

2010年12月06日(月)
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数年前にF1テストで壮絶なクラッシュに見舞われていたジャガーの元テストドライバー、ジェームス・コートニーが、オーストラリアのV8スーパーカーでの初タイトルを獲得した。

2002年、当時22歳だったコートニーは、ジャガーからモンツァでのF1テストに参加。しかし、リアサスペンションが故障したことから、非常に高速のままバリアに激突した。

目から血を流した状態で意識を取り戻すと、叫び声が聞こえたとコートニーは『Daily Telegraph(デイリー・テレグラフ)』へ話している。

「見上げると、それはミハエル・シューマッハ(当時フェラーリ)だった」

「僕が生きているのは奇跡だよ。時速306kmでウォールに激突して、時速約70kmで跳ね返ったんだ」

「クラッシュ時の衝撃で網膜がはがれなかったのは幸運だったと言われたよ。まるで飛行機が墜落したようだった」

現場にいたマーシャルが英語を話せなかったことから、シューマッハが助けてくれたとのことだが、ボロボロになったクルマの中で右半身を動かせないことに気付くと、コートニーは「恐ろしくなった」と思い起こしている。

「クラッシュ(の衝撃)は67Gだった。回復するのに1年かかったよ。歩くと片頭痛がするようになったんだ。あらゆることが片頭痛のきっかけになったよ。音、光、ありとあらゆるものがね」

「あの事故がなければ、イギリスF3でチャンピオンになっていただろうし、あのクルマ(ジャガー)の翌年の(F1)シートを獲得していたはずだよ」

このクラッシュでF1に向けたキャリアが終わってしまったコートニーは、母国オーストラリアへ戻り、現在の妻であるカリーズと出会い、2児の父になった。

「僕があの(F1への)道でどこまでいけたかなんて、誰にも分からない。今の僕は、世界最高の国に住んでいて、僕の周りには愛があふれている。これ以上のことは望めないよ」とコートニーは話している。

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