グループ・ロータスがルノーF1と提携し、チーム・ロータスと泥沼の争いを繰り広げることで、「ロータス」という伝説的ブランドのイメージが傷つけられる危険性がある。
こう語ったのはデビッド・ハント。1976年のF1チャンピオンであるジェームス・ハントの弟であり、最近まで「チーム・ロータス」の名称権を持っていた人物だ。
ハントは最近、2010年にロータス・レーシングとして参戦したチームのトニー・フェルナンデス代表へ、チーム・ロータスの名称権を売却。これを受けてフェルナンデス率いるロータス・レーシングは、2011年のF1にチーム・ロータスとしてエントリーした。
しかし、イギリスのスポーツカーメーカーであるグループ・ロータスが、ルノーF1の株式を取得。来季は同チームのタイトルスポンサーにもなり、ロータス・ルノーGPとして参戦することになっている。
しかも、両チームともルノーエンジンを搭載するばかりか、かつてチーム・ロータスが採用していたブラックとゴールドのカラーリングで2011年のF1を戦うと発表した。
「ルノーのクルマにロゴを掲出しているスポンサーは、プロトン(グループ・ロータスの親会社)が行った事実上の宣戦布告に関連して起こるであろう損害について警告されているのだろうか」
「さらに言えば、ルノーは2008年に(ドライバーへ故意にクラッシュすることを指示したクラッシュゲートで)F1の利益を損なったとして、いまだに執行猶予中だ。今回はロータスブランドを利用し、またも意図的かつ故意に、世間を混乱させようというのか?」
「どんな角度から見てみても、バカなことだと思う。世の中を混乱させるにはこうすればいいんだよ」と『Norwich Evening News(ノリッチ・イブニング・ニュース)』へ語った。
しかし、ルノーF1のオーナーであるジェラルド・ロペスは、F1の最高権威バーニー・エクレストンからの支持も取り付けているとして、混乱の元凶になったことを否定。『Telegraph(テレグラフ)』へこう話している。
「われわれに関しては、バーニーが関与していることであり、彼の賛成もあって実現したことだ」
ルノーF1のチーム代表エリック・ブーリエも今回の提携を手放しで喜んでいる。
「これは最高なニュースだ。F1の主要スポンサーが、7年もの契約を結ぶことは珍しいからね」
「短期的、中期的、そして長期的な予算が、トップチームになるためのカギになる。もし期限が決まっていれば、スタッフのモチベーションも上がらない」とブーリエは『AFP』へコメントした。