初のF1フルシーズンを戦った小林可夢偉(ザウバー)が、自身の公式ウェブサイトで最終戦アブダビGPを振り返った。
シーズン最終戦となるアブダビGP。どのチームも同じことだが、可夢偉もいいレースをしてシーズンを終えたかったようで、次のようにレースレポートで書いている。
「今シーズン最後のレースなんで気持ちよく終われるように仕事だけはしっかりしようかなと思っていました。ただみんないい形で終わりたいと思っているだろうし、厳しいレースになると予想はしていました」
「去年は路面の状況がすごく特別だったので、今年は普通になってるのか、やっぱり特別なものなのかは走ってみないと分からない。どういう状況にも対応できるようにしっかりやっていかないといけないと思います」
可夢偉にとってアブダビGPは、昨年にトヨタから出場し、F1で初のポイントを獲得した思い出の地。F1デビューから2戦目だった昨年に比べると、精神的には楽だと感じていたものの、砂漠に囲まれたアブダビだけに、まったく変わらないものもあったようだ。
「それにしても相変わらず暑い。気分的には去年よりも全然楽なんですけど、この温度だけは1年経(た)っても変わらないなとしみじみ思いました(笑)」
予選が行われた13日(土)は、ブレーキの問題に苦しめられた可夢偉。結局は12番手からレースをスタートすることになったが、2種類あるドライタイヤのどちらでレースをスタートするのか、チーム側と意見が分かれていたという。
「決勝レースは僕としてはプライム(ハード側)でスタートしたかったんですが、今回は初めてチーム全員に反対されました。オプション(ソフト側)の方がスタートがいいことと、シミュレーションでもその方が速かったようです」
「12番グリッドというチャレンジしにくいグリッド位置もあったと思います。たしかにオプションのスタートはよくてルノーの2台を抜いて、ロズベルグ(ニコ・ロズベルグ/メルセデスGP)も抜けそうだったんですが、そこでセーフティカーが入って抜けなかった」
「結局その後はバリチェロ(ルーベンス・バリチェロ/ウィリアムズ)が抜けなくて本来のペースで走れなくて、彼がピットインした時点で、後ろとのマージンがつらくなっていて、オプションからプライムに履き替えるタイミングを失ってました。タイム的には上がってますけど、やっぱりタイヤはもうたれてました。もうどうしようもなくてはまってしまったというパターンですね」
最終戦でのポイント獲得は達成できなかったものの、今回の経験を来年につなげていきたいと可夢偉は語る。
「普通にレースをしたらこんなもんでしょう。今回はチャレンジ不足ですね。セーフティカーの時もそうでしたから。レースが終わってみると僕たちが思っている反対のことがすべて正解だった。来年は同じような状況があったら、この経験はきちんと活(い)かしたい。チャレンジできるようにみんなをもっていきたいと思います」
来季もザウバーから参戦することが決まっている可夢偉。チームリーダーとなる来年はさらなる飛躍を狙っている。
「今年はシーズン序盤の苦しいときから最後まで、ずっとみなさんに応援していただき、本当にありがとうございました」
「僕はこのままアブダビに残ってピレリのタイヤテストに参加します。これはすごく大事なテストで、これで来年のクルマの方向性が決まります。2011年は1戦目からチャンピオンシップを戦えるようにしたいと思っています。楽しみにしていてください」