鈴鹿サーキットで行われた日本GPで1-2フィニッシュを達成し、圧倒的な強さを見せたレッドブル。初のF1王座獲得に向け、大きな一歩を踏み出した。
2009年シーズンから速さを見せたレッドブルだが、「速いが壊れる」という悩みも抱え、速さを結果に結び付けられずにいた。しかし、2010年シーズンにレッドブルは、その速さに磨きをかけ、鈴鹿などレッドブルが得意にするサーキットでは「手がつけられない」とライバル勢がもらすほど圧倒的な速さを見せるようになった。
チームメート同士でクラッシュし、チーム内での不協和音が大々的に報じられたほか、所属するセバスチャン・ベッテルにはミスやクラッシュが目立ち、「速さ」はあるものの「強さ」に欠けるとも指摘されるレッドブル。しかし、それを十分に補える速さがレッドブルにはある。
実際に、現在ランキングの首位に立っているのはレッドブルのマーク・ウェバーだ。2位にはフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)がつけているものの、アロンソと同ポイントでベッテルが並んでいる。
ウェバーとアロンソ、ベッテルとのポイント差は14ポイント。F1はあと3戦を残しており、優勝ドライバーの獲得ポイントが25ポイントであることを考えれば、アロンソの逆転も不可能だとは言えない。しかし、残り3戦でもレッドブルが強さを発揮すると予想されることから、F1王者を巡る争いはレッドブルの2人に絞られたとの意見もある。
次戦となる韓国GPは、レッドブルが強さを発揮する高速コーナーが多い。そのため、レッドブルに有利なサーキットだとされている。また、それに続くブラジルGPやアブダビGPでは昨年、レッドブルが優勝していた。
現在ランキングの首位にいるウェバーが最もチャンピオンに近いのは間違いないが、もしベッテルが今後の3戦ですべて優勝した場合、ウェバーが2位に入り続けてもベッテルがチャンピオンになる。また、ベッテルがチャンピオンになった場合、ベッテルはルイス・ハミルトン(マクラーレン)が持つ最年少王者の記録を塗り替える。
その一方で、ランキング2位のアロンソはレッドブルにない「強さ」を持ったドライバーであり、すでにF1チャンピオンに2度輝いた「経験」もある。レッドブル勢が、獲得できるはずのポイントを逃すようなことをした場合、アロンソが逆転王者に輝く可能性もまだ残っている。
2010年のF1、レッドブルが王者に最も近いが、王座を巡る戦いはこれからさらに激しさを増してくる。