元F1チャンピオンであるデーモン・ヒルを含めたモナコGPのスチュワードが、ミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)にペナルティーを科し、シューマッハはモナコGPでポイント圏外へ順位を下げることになった。
モナコGPの決勝が残り数周になったところでヤルノ・トゥルーリ(ロータス)とカルン・チャンドック(ヒスパニア・レーシング)のクラッシュが発生。これによってセーフティカーが導入された。
しかし、セーフティカーは最終ラップでピットレーンへと戻り、最終コーナーでシューマッハはフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)を抜き、アロンソの前でフィニッシュラインを通過していた。
2010年から、セーフティカー導入が解除される際には、コントロールラインではなく、セーフティカーラインからオーバーテイクが許可されている。
しかし、レースフィニッシュ時については、セーフティカーはピットレーンへ戻るものの、オーバーテイクをしてはならないというルールになっており、現場でも混乱が生じていた。
レース後にはメルセデスGPのチーム代表ロス・ブラウンが、「レース終了の前には、セーフティカーが戻ると通知されていた。セーフティカー導入のままレースが終了するというような連絡はなかった」と『BBC』へ語っている。
シューマッハもドイツのテレビ局『RTL』へ、「スクリーン2には、“トラック・クリア”というメッセージが出ていた。つまり、セーフティカーが戻って、レースが再開するという意味だよ」とコメントしていた。
このことから、スチュワードに呼び出された際にもフェラーリとメルセデスGPの意見は真っ向から対立。しかしスチュワードは、シューマッハがスポーティング・レギュレーションの40条13項に違反したとの裁定を下した。
40条13項では、セーフティカー導入のままレースが終了する場合、セーフティカーはピットレーンへ戻るものの「各車は追い抜きを行うことなく、通常通りチェッカーフラッグを受ける」と規定されている。
このためスチュワードは、ドライブスルーの代わりとして、20秒加算のペナルティーをシューマッハに科した。これによりシューマッハは、12位へ順位を落とすことになる。
しかし、チェッカーフラッグを受ける際、スロー走行することなく全車がフルスピードでホームストレートを走行したことから、全チームがセーフティカー導入は解除されたという認識を持っていたとブラウンは考えている。
「全ドライバーの反応をみんな見たはずだ」
「もしステファノ(ドメニカリ/フェラーリ、チーム代表)の言っていたことが事実だとすれば、彼らはスタート/フィニッシュラインをゆっくりと通過していたはずだ。オーバーテイクは認められていないんだからね」
「だが、全員が全開で走り、こう言っては悪いが、フェルナンドは居眠りしていたために、われわれがアドバンテージを得た」とブラウンは語った。