意図的にクラッシュすることを指示したとされる“クラッシュゲート”について、FIA(国際自動車連盟)が新たな制裁を科すことを検討しているようだ。
クラッシュゲートをめぐっては、フラビオ・ブリアトーレ(元ルノー/マネジングディレクター)が無期限、パット・シモンズ(元ルノー/エンジニアリング責任者)が5年間の追放処分を受けていた。
しかし今週、フランスの法廷はブリアトーレとシモンズに対する追放処分は違法だとの判決を下した。
だがFIAは、ネルソン・ピケJr.に2008年のシンガポールGPでクラッシュを指示したブリアトーレとシモンズがF1へ復帰することを認めないことを決断したようだ。
FIAは次のような声明を発表している。
「このように危険な行為、意図的な不正行為に関与している人物、もしくは関与したことのある人物が将来のF1に参加できないよう、適切な対処を検討していく」
前FIA会長であり、ブリアトーレの宿敵でもあったマックス・モズレーは『Times(タイムズ)』紙へ、FIAは「すぐにでも」ブリアトーレとシモンズを再び追放する権利を得ることができると語った。
スポーティング・レギュレーションを改定し、ルールを破ったものや、危険な行動をしたものがF1で活動することを禁止できるようにすればいいというのである。
パリの法廷で世界モータースポーツ評議会での手続きが厳しく非難されていたこともあり、今回の問題は、新FIA会長となったジャン・トッドが、自身の計画する新しい懲罰システムを実行するチャンスにもなる。
だが、ブリアトーレの友人でもあるF1界の最高権威バーニー・エクレストンは、この問題を長引かせることへの懸念を示している。
「最悪なことというわけじゃない」
「全員が1つのテーブルに座って、何をできるか考える方がマシだろう」とエクレストンは『The Sun(サン)』紙へ語った。
しかしモズレーは、ブリアトーレとシモンズに制裁を科すことは、FIAの信用にかかわる問題だとして、次のように語っている。
「(彼らの行動を)“まあ、問題のないことだな”などとわれわれが言うことは、考えられない」
モズレーはFIA会長選挙の際、現会長のトッドを強力に支持していたが、現在もFIAに関与しているとの憶測を、こう否定した。
「トッドとはよく話をしているが、友人として話しているだけだ。バーニーとも同じことさ。今は完全に引退しており、新しい生活を楽しんでいるし、関与したいとは思わない」
また、ピケ一家に対する訴訟を示唆するブリアトーレに対し、モズレーは次のように警告している。
「彼は反訴されて、痛い目に遭うだろう」