『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』の監督が語るセナの存在

2010年10月17日(日)
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10月8日(金)に世界最速、日本先行公開となった『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』。セナ初のオフィシャル・ドキュメンタリー映画の監督を務めたアシフ・カパディアが、TopNewsの質問に応えた。

Q:セナが亡くなってから15年以上経過するが、なぜいまだに世界中で愛されていると思うか?
アシフ・カパディア(以下、カパディア):アイルトンには、存在感や本物のカリスマ性といった何か特別なものがあった。サーキット上では天才で、サーキットの外では思いやり溢(あふ)れる人間だった。信じるもののために立ち上がり、ドライバー仲間のためにF1を安全なスポーツにしようと戦った。何百万ものブラジル人や日本人を始め、世界中の多くの人々にとって、彼はヒーローだった。アイルトンの物語は本当に特別だから、彼がたどった軌跡を正しくとらえてスクリーンによみがえらせるべく、私たちはベストを尽くしたよ。

Q:もともとF1のことをあまり知らないところからセナについて調べていき、セナの何が世界中のファンを引きつけたと思うか。
カパディア:私は大のスポーツ・ファンで、フォーミュラ・ワンも長年テレビで観ていた。特に印象に残っているのはセナ対プロスト(アラン・プロスト)時代と、1989年と1990年に日本で起きたチャンピオンシップ獲得へのドラマティックなクライマックスだ。でも、正直なところ、私はF1に関してはまだまだアウトサイダーだ。初めてレースを観に行ったのはほんの数年前だし、F1に関する本を読んだこともなかったからね。インターネットでF1情報をチェックしたこともない。だから、「アイルトン・セナ」についてよく知らなかった。でも、彼が事故に遭ったイモラでのレースはライブで観ていたから、あのひどい週末のことは鮮明に覚えている。

だから、この作品の製作はまさに壮大な旅だった。アイルトンと親しかった人全員にインタビューし、何千時間も彼のレースやインタビューの映像を観ることで、彼のことを深く知ることができた。レース中とレースの外での両方の顔を知り、ますます彼のことを尊敬するようになった。世界中に彼のことを愛するファンが何故あんなに大勢いるのか、理解したよ。アイルトン・セナはF1というジャンルを超えて、特別な存在なんだ。彼のファンがこの映画を気に入ってくれるとうれしいし、新しい世代には彼の才能と人間性を知ってほしい。

Q:セナという人物のどこを、一番みてもらいたいか?

カパディア:それはこの映画を見れば明らかだと思うから、できるだけ大勢の人に映画館でこの作品を観てほしい。私たちは特別な映画を作ったと自負している。アイルトンのことを知り尽くしていると思っている彼のファンとF1ファンは、多くの未公開映像を観ることができるし、F1に興味がない、またアイルトンを知らない人々は、唯一無二の存在だったひとりの素晴らしい男について知ることになるだろう。観客が最初から最後までこの映画を楽しんでくれることを願うよ。レースのシーンに興奮し、笑い、泣き、複雑で特別だった男とその類まれな人生に心を動かされてほしいんだ。

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