ミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)は「悲劇の元ヒーロー」であり、すぐに引退するべきだ。
シューマッハ最大のライバルとされ、お互いに最大限の敬意を持って付き合ってきたと言われているミカ・ハッキネンが語った。ハッキネンは『TZ』紙のコラムで、次のように書いている。
「今のマイケル(シューマッハ)は、悲劇の元ヒーローだと僕は思う」
「一体なぜマイケルがコクピットへ戻ったのか僕も不思議だよ。モータースポーツ界で最大の成功をおさめた男が、隊列の後方を走っていて、アブダビでは自分の命を失いかねないバカなミスをしたんだ」
ここでハッキネンが語ったのは、アブダビGP1周目のクラッシュのこと。シューマッハがコーナー出口でスピンしてコース上にクルマを止めると、シューマッハのクルマにビタントニオ・リウッツィ(フォース・インディア)が乗り上げてしまった。
クラッシュ後、メディカルセンターで検査を受けていたシューマッハは、恐怖を感じたと認めつつも、2011年も現役を続行すると断言した。
しかし、ハッキネンはこう続けている。
「(シューマッハの母国である)ドイツにとっては、悲劇の1日になる可能性もあった。ベッテル(セバスチャン・ベッテル/レッドブル)にとって栄光の日なのにね」
「誰よりも勝利を重ねてきた男が、これ以上何を成し遂げるというんだ? 僕の目には、彼が自分の功績を少しずつ削っているように見える」
「技術的な問題があったのか、それとも彼がほかのみんなについていけないのか、そんなことは関係ない」
だがハッキネンは、F1を引退してから3年後にシューマッハが復帰したいと考えたことを、理解できるとも語る。
「3年たってから、僕もコクピットへ戻った。メルセデスでDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)を走ったんだ。そして気付かされた。たとえF1チャンピオンに対してであっても、年上の者に対する手加減なんてないことをね」
「僕は3回しか勝てなかった」
「時間が流れるのを止めることも、戻すこともできない」
「個人的に、僕たちが親密な友人になったことはないよ。彼はいつも、僕にとっては少し横柄すぎる印象だったからね」