昨年にF1デビューを果たした、思い出のレースであるブラジルGPでポイントを獲得した小林可夢偉(ザウバー)。しかし、レース中は苦戦した部分もあり、「クルマの問題点が浮き彫りになった」と語っている。
トヨタに所属していた昨年、急きょブラジルGPでのF1デビューが決まった可夢偉だが、1年前の様子を公式ウェブサイトで次のように振り返った。
「去年このブラジルでトヨタからF1デビューをした時、次のレースはほとんどないと思っていたんです。ともかくあれは一生に一度あるかないかの大事なレースでした」
「でも、初めてのことばかりで何から勉強していけばいいんだろうという感じだったし、厳しい部分もいっぱいありました。だから1年ぶりに来てみたら、去年とはずいぶんと風景が違って見えました。気持ちに余裕ができて視界が広くなったのかもしれませんね」
予選では、Q3進出こそ達成できなかったが、チームメートを上回る12番グリッドを獲得していた。そして迎えた決勝、可夢偉は1周目に順位を落としていた。これは、ほかのドライバーにコース外へ押し出され、タイヤのグリップが低下していたことが原因になったようだ。これについて可夢偉は、こう語っている。
「まああれがなければ展開としては楽だったかもしれないですが、これもレースなんで仕方がないです」
その後、レース終盤までピットインせず、可夢偉は順位を上げていった。しかし、可夢偉がピットインした数周後にセーフティカー導入。あと2周ピットストップを遅らせていれば、もっと上位でレースを終えられた可能性もあるが、タイヤ交換のタイミングについて可夢偉はこう述べた。
「タイヤ交換はウェバー(マーク・ウェバー/レッドブル)が来るタイミングを見ていました。それであのラップに入ったんですけど、その後のセーフティカーが入ったのがよくなかった」
「せっかく新品のオプション(ソフト側タイヤ)を履いたのにタイヤが冷えてしまったし。あと2周タイヤの交換を遅らせてSC(セーフティカー)の時に入れていたらまた状況は違ったかもしれませんが、それも運なんでしょうがないです」
そしてレース終盤、可夢偉は今回もコース上での追い抜きによって順位を上げていき、ポイント圏内の10位まで浮上。しかし、楽な戦いではなかったと可夢偉は語る。
「トロ・ロッソの2台の前に出ましたけど、ラップタイムは僕の方が速くてもやっぱり直線が遅くて簡単じゃなかったです。彼らも同じエンジンなんですけどね。ルノーのクビサ(ロバート・クビサ)はもっと直線が速くて相手になりませんでした」
「レースでも僕たちのクルマの問題点が浮き彫りになったと思います。このクルマでも直線が速ければずいぶんとレースの展開は変わっていたと思う。ただ1ポイントは獲れたし、次のアブダビでも焦らずにポイントを獲って、気持ち良く来年につなげたいと思います。応援よろしくお願いします」