2010年にミハエル・シューマッハ(メルセデスGP)がチャンピオンになることを目標にしたのは、「謙虚さ」に欠けるものだったとアラン・プロストが語っている。
プロスト自身、1年間の休養を経て、現役に復帰した1993年にチャンピオンになった経験がある。一方シューマッハは、3年間F1から離れ、2010年にメルセデスGPから現役に復帰。シューマッハは、自身が持つ7度のF1チャンピオンという記録の更新が目標だと公言している。
これに対しプロストは、シューマッハの「目標は高すぎであり、非現実的だ」と一刀両断にした。
実際に、シューマッハはチャンピオン争いに加わっていないばかりか、チームメートのニコ・ロズベルグにも後れを取っており、獲得ポイントはロズベルグよりも68ポイントも少ない状態だ。プロストは『L’Equipe(レキップ)』へこう話している。
「彼は、ロズベルグや、1年目のメルセデスGPを助けるために復帰したとでも言うべきだった。友人のロス・ブラウン(チーム代表)を助けるためだと言っても良かった。そちらの方が、彼にとっては楽だっただろう」
「謙虚さが欠けていたのかもしれない。彼は、自分にそれ以上の力があると思っていたんだろうがね」
シューマッハは不調の原因について、今年のタイヤに適応できなかったことが理由の1つだと説明していた。しかし、これは単なる言い訳だとプロストは語る。
「私としては、単純に年の問題だと思う。タイヤのことは単なる言い訳だ。シューマッハは常に、どんなクルマにも適応してきたのだから」
「それが彼にとって最大の武器だった。あの年齢で3年間離れてからトップに復帰するのは不可能だ。それが自然の摂理だよ」
シューマッハが初めてF1チャンピオンに輝いたベネトンでチーム責任者だったフラビオ・ブリアトーレも、プロストと同じ意見であるようだ。『Times of India(タイムズ・オブ・インディア)』のインタービューで、ブリアトーレは次のように話している。
「われわれには、ベネトンやフェラーリでのシューマッハという記憶がある。絶対的なチャンピオンというシューマッハの記憶だ」
「復帰するという彼の決断は、正しいものではなかった。もし彼が来年も走るとしても、同じ結果になるだろう」