マクラーレンとレッドブルの首脳陣が、F1には今もチームオーダーが存在すると示唆したデビッド・クルサードの意見に反論した。
トルコGPでは、レッドブルとマクラーレンが、本来であれば禁止されているチームオーダーを間接的に発令しようとしていたのではないかと指摘された。
チームメート同士でクラッシュしていたレッドブルでは、マーク・ウェバーが燃料を節約するという名目でエンジンのセッティングを変更。しかし、ウェバーを追い上げていたチームメートのセバスチャン・ベッテルに対しては、そのような指示は出されていなかった。
またマクラーレンでも、ジェンソン・バトンとルイス・ハミルトンが、チームメート同士によるホイール・トゥー・ホイールのバトルを繰り広げていた。こちらもチームからは燃料を節約するよう指示があった。
これについて、レッドブルのアドバイザーでもあるクルサードは、「各チームが弁護の余地がないものを弁護しなければならない、バカげた状況だ」と『Telegraph(テレグラフ)』紙のコラムで書き、こう加えた。
「(チームオーダーが)F1で行われているか? 簡単に答えれば、イエスだ」
F1でチームオーダーが禁止されるきっかけになったのは、2002年のオーストリアGP。当時フェラーリに所属していたルーベンス・バリチェロ(ウィリアムズ)が、当時のチーム代表だったジャン・トッドから、ミハエル・シューマッハ(現メルセデスGP)を前に出すよう、露骨な言葉で指示されていた。
これに対しバリチェロは、最終ラップの最終コーナーまでトップで走行していたものの、ホームストレートでシューマッハを前に出して優勝を譲った。あまりにも露骨な形で優勝を譲ったこともあり、この件が大問題に発展し、これ以降F1ではチームオーダーが禁止されることになった。
しかしクルサードは、チーム側は簡単にチームオーダー禁止というルールを回避できるとしており、ある種の指示は合法であるとも語っている。
実際、トルコGPでのレッドブルやマクラーレンの立場に立ってみれば、チームオーダーを発令できたほうが楽にレースを展開できただけではなく、ベッテルとウェバーのクラッシュも回避できたかもしれない。
だが、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは次のように述べている。
「チームオーダーは間違っていると思う」
「プロフェッショナルなドライバーを雇うのなら、どうやってクルマを走らせるのか彼らに指示するべきではない。グランプリとは,、人とマシンがお互いに競い合うものだ。それを公に否定するのは間違っていると思う」
また、マクラーレンのチーム代表マーティン・ウィットマーシュも、こうコメントした。
「われわれは、現在のレギュレーションに満足できている。他のチームが(チームオーダー容認を)希望したとしても、私は構わない。それは彼ら次第だ。だが、われわれのチームでは、敬意を持って全ドライバーを扱うようにしてきた」